HISTORYわたしがgaldy.理論をつくった想い
「ヘアセットは感覚だよね」と言われて感じた、違和感
カット・カラー・パーマにはいろいろな理論が確立していますが、ヘアセットとなると「センス」や「感覚」に頼っている部分が大きいと思います。
そのことを強く感じたのは、私がまだ駆け出しの頃。
友人が働く美容室で、オーナーさんにヘアセットをして頂く機会があったのですが、私が「ヘアセットが好きなので上手くなりたい」と伝えたときに、その方は「ヘアセットって感覚だからね〜」っておっしゃったんです。
「ヘアセットはセンスが良い子はできるけど、そうじゃないと難しい。だからウチのスタッフ、ヘアセットが苦手なんだよね」
その言葉がどうしても腑に落ちず、ずっと耳に残ってしまって。
「ヘアセットは感覚?センス?本当にそうなのかな...」
そんな気持ちを抱えながら、大好きなヘアセットの仕事に没頭していくうちに、友人や後輩から、ヘアセットの技術を教えてほしいと頼まれるようになりました。
そして、色々な美容室へお邪魔するうちに、ヘアセットの教育が感覚的になっているお店が多いことに気がついたんです。
中には「先輩からヘアセットのセンスが無いって言われたんだ...」と言う人もいました。
詳しく話を聞くと、カット・カラー・パーマには理論的カリキュラムがある反面、 ヘアセットに関しては、3つの課題スタイルをウィッグ試験でクリアしたら「あとは自分のセンスで頑張って」という感じのようでした。
先輩の指導も「こんな感じのほうがいいんじゃない?」というような感覚的なことが多いとも言っていました。
そんな話を聞いているうちに、「美容師歴が長い人でも、ヘアセットは感覚に頼っている場合が多いんだ。
それなら私が、理論化・体系化された新しいヘアセット理論をつくりたい!」と強く思うようになったんです。

感覚じゃない、ヘアセット理論をつくりたい!
それから、ヘアセットと女性像の研究の日々が始まりました。
ヘアセットを感覚頼みではなく、誰もが実践できる理論に落とし込むために、私は月間何百人というお客さまのセットをしながら、どんなデザインがどんな女性像の人に似合うのか、一年生にも分かりやすく伝えるにはどうすれば良いのか、など地道に実践を重ねました。
そんな研究が4年ほど経った頃、ようやく一つの理論として形になってきました。
これが今、講習させて頂いている、ビューティーフィッター ヘアセット理論の基となっています。

ヘアスタイルの「くずし」までロジカルに考える
例えば「カールのくずし」は、カールの流れをよんで、狙った場所に浮遊感を出せるように、リッジに対してピンポイントで施すもの。
コテで巻いたカールを指で崩してニュアンスを付けたいという時には、「ティッシュに触れる程度の力でカールの谷をつかんで、ループの外側を引き出します。
カールをつかむ指は親指、人差し指、中指の3本で、引き出す指は親指と人差し指の腹を使って、ループを真横にずらすように。カールを2倍まで崩すとエレガントなイメージに、3倍以上崩すとロマンティックなイメージになります」 と説明すれば、分かりやすいんじゃないかな。
こうやって理論と技術の両方を分析していきました。

見切り発車でもいい。とにかく始めてみよう!27歳で独立を決意
そんな時に、とあるヘアメイクアップアーティスト養成スクールでヘアセットのインストラクターをする機会に恵まれました。
「研究してきたヘアセット理論を伝えられるチャンスだ!」と、スクールでは念願だったヘアセット理論のカリキュラムを1からオリジナルで作らせて頂き、講師として美容師さんに授業を行いました。
そこで少しずつ手応えを感じることができ「この理論を一人でも多くのヘアセットに苦手意識を持っている方にお伝えしたい!」 という思いが徐々に強くなっていきました。

当時生徒さんであった美容室のオーナーさんから「もし大友さんが独立したら、是非うちのスタッフに臨店講習してください」 という声も頂けるようになりました。
その後、「自分自身で責任を持ってしっかり取り組んでいきたい」という想いが強くなり、独立に向けてスクールを退職しました。
当初はもちろん不安もありましたが「教育となると年齢的にはまだ未熟かもしれないけれど、やってきたことに自信を持って誠心誠意お伝えすれば、見切り発車でもいいじゃないか。とにかく始めてみよう!」と、独立を決意し、美容室に特化したヘアセット理論の教育を行うgaldy. (ガルディ)を立ち上げました。
ヘアセット教育だけでなく、コンサル的視点で美容室と向き合う
独立後は、主に美容室での臨店講習を中心に活動しました。
取り組んでいく中で、美容室での講習は、ヘアセット教育だけでなく客層やスタッフの方に合わせお店の中に新しい仕組みを作るというコンサルティング的な要素を持つものだと気がつきました。
例えば、アシスタントさんなど若い美容師さんへの教育。
ヘアセットの技術は、頑張れば早い方で半年、平均しても1年で入客することができます。美容師は自分の技術をお客様に提供し、喜んでもらえたときに初めて、本当の仕事のやりがいや楽しさを実感することができますよね。
私は、まだカットの出来ない若い美容師さんが、ヘアセットを売りにして、それで入客できるような新しい流れを作りたいと思っています。
その為に提案型カウンセリング講習や、お客様の美意識を見抜く為のファッション分析講習も行なっています。
今では、早期育成の取り組みとして、アシスタントさんがカットより先にヘアセットやフィニッシュワークで入客できる仕組みを作っていらっしゃる美容室が全国にできています。

美容師は、お客様のなりたい私を叶える“イメージコンサルタント”
アメリカ生まれの“イメージコンサルタント”という仕事をご存知ですか?
イメージコンサルタントとはお客様のなりたい私(なりたい女性像)を徹底的にヒアリングし、そのイメージに合ったヘア・メイク・カラーコーディネート・ファッションなどを提案するプロフェッショナルです。
お客様のなりたい私を叶えるプロ、それがイメージコンサルタントなのです。

例えば家を建てるとき、デザインや間取りをすべて自分で決めて注文しますか?
普通は、建築家に住みたい家のざっくりしたイメージを伝えて、そこからプロである建築家が 「ご希望のイメージだったらこんな内装が良いですよ」と色々と提案してくれながら一緒に設計を考えていきますよね。
美容室でも、「どのくらいカットしたいですか?」「カラーは何色にしたいですか?」など、デザインをお客様に決めてもらうのではなく、 お客様の“なりたい私”をコンサルティングするのが理想の美容師像だと思います。
独立して1年くらい経った頃から、このイメージコンサルティングスキルが美容師さんにとって必須スキルだと、改めて強く感じ始めました。何より、技術のプロフェッショナルである美容師さんがこのスキルを身に付けると“鬼に金棒”だと確信したのです。
独立前からイメージコンサルティングの勉強をしていた私ですが、より美容業界に特化した内容に落とし込む為、講習業のかたわら、新たにイメージコンサルティングスクールに入学し、本場アメリカの国際イメージコンサルティングのノウハウを取得しました。

それだけでなく、ファッションスタイリング理論、骨格・ボディイメージ、フェイスイメージ、パーソナルカラーなど、 様々な流派のコンサルティングスキルを身に付け、それを美容業界向けにアレンジし直しました。
こうして生まれたのがgaldy.女性像理論です。
この理論はヘアセットだけのものではありません。 カット、カラー、パーマ...美容業の全ての技術に通づる理論です。
イメージコンサルティングや女性像の勉強を始めて10年以上が経ちますが、今でも理論をブラッシュアップし続けています。
美容師さんからの言葉が一番の原動力です
おかげさまで、galdy.の想いに共感してくださるサロンさんが増え、現在では年間250件を超える数の講習を担当させて頂き、講師として全国のサロンさんを回らせて頂いています。
その中で多くのサロンオーナーさんから
「女性像がきちんと理解できたことで、カンセリングの質が全く変わりました」
「アシスタントがヘアセットや女性像の勉強をし始めてから、カットの展開図が早くイメージできるようになりました」という嬉しいお声も頂いています。
ヘアセットや女性像に苦手意識がある1人でも多くの美容師さんに、この理論をお伝えしたいと強く思っています。

ヘアセット×女性像×イメージコンサルティングで、お客様を最高の笑顔に
美容室でなりたい私をコンサルティングしてもらえたら...女性にとってこんなに嬉しいことはありません。
日本中にイメージコンサルティングできる美容師さんが増え、それによって日本中に笑顔あふれる女性が増えたら、最高に素敵ですよね。
「galdy. (GIRL&LADY=全ての女性の意)」というネーミングにも、そんな想いを込めています。
一人でも多くの女性に、素敵なヘアを届けるために、これからもお伝えし続けたいと思います。